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神戸新聞に掲載されました

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香川県東かがわ市の靴メーカー「Germ Free(ヂャームフリー)」が、子ども用スニーカー7千足を、神戸市内の民間児童館61館に寄贈した。洗わなくても靴のにおいを抑えられるのが特長で、まずは小学生を持つ保護者に消臭効果を実感してもらうのが狙い。「神戸で効果が認められれば、評判は全国に広がる」とみており、神戸の靴メーカーとの連携も視野に入れている。

■保護者から感謝の手紙

 7月上旬、神戸市須磨区の菅の台児童館。ヂャームフリーの井口新次郎会長(75)と比嘉卓馬社長(46)が訪れ、スニーカーの寄贈式が開かれた。同じく無償提供を受けた本庄(東灘区)、藤原台(北区)、神の谷(須磨区)、多聞台(垂水区)、井吹台(西区)の各児童館の館長らも出席し、謝意を伝えた。

 「靴のにおいには本当に苦慮していた」。菅の台児童館を運営するNPO法人の福田豊理事長(71)は話す。げた箱に消臭剤を置いたり消臭スプレーを噴霧したりしてもなかなか消えず、蒸し暑い日などはにおいが館内にまん延していたという。寄贈の申し出を受けた時は半信半疑だったが、「においがしなくなった」と喜ぶ。保護者からも感謝の手紙が届いたという。

■においの原因ほぼゼロに

 スニーカーは、井口会長が開発した。カラーコピーやコーティングの技術に明るく、かつてはキヤノンなどに技術を提供する会社を京都市内で経営。「ほぼ隠居生活だった」というが、知人の旅館の女将から「修学旅行生の靴のにおいがものすごい」と相談されたのを機に、開発に挑んだ。

 自身の知見に基づいて、中底や中敷きに特殊なコーティングを施し、においの原因となる黄色ブドウ球菌の増殖をほぼゼロに抑えた。具体的な技術は企業秘密だが、効果や安全性は外部機関の試験で確認した。

 2019年にヂャームフリーを設立。社名は英語で「無菌」を意味するという。20年に大人用のスニーカーを発売し、23年には子ども用も商品化した。

■神戸の靴メーカーとコラボ呼びかけへ

 神戸を贈り先に選んだのは、子どもの足のにおいに悩む保護者が特に多いと聞いていたから。公立小学校が上履きのない「土足制」で、朝から晩まで同じ靴を履き続けるのが要因という。井口会長と比嘉社長は市内の小学校や児童館などを訪れ、無償提供を申し出た。

 「最初はずいぶん怪しまれた」と井口会長。何度も足を運び、「忙しい保護者の負担軽減になる」と訴えるうちに寄贈を受け入れてくれる児童館が増え、最後は61館となった。足のサイズや希望の色などを取りまとめ、今年3~6月に発送作業を終えた。

 子ども用スニーカーは13630円。「お子さんや保護者に喜んでもらうのが先。商売はその後についてくるもの」と井口会長。今後、神戸のシューズメーカーなどにコラボ商品の開発を呼びかける予定で、「世界中にこのスニーカーの良さを広めたい」と意気込んでいる。(神戸新聞デスク 足立 聡)

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